少年はがたがたと震えて助けを呼び続けている。吊られた手首の痛みよりも犯され続けた痛みよりも目の前の男が持つダガーが怖い。
男は長い拷問の間でも見せたことがない程に興奮していて少年にぴったり体を付けると荒い息を吹きかけている。そうして唇が上体を這い回る間中、ダガーの平たい刃がぴたぴたと背中や胸を触っているから、少年は泣き声を上げ続けている。
「おまえは本当に可愛いよ」
男は言って思い切り彼の肛門にペニスを突き立てる。慣らされて慣らされて、指ですら達したのに、少年は快感も無く、異物感さえ無く、ちかり、と光るダガーだけを目で追っている。恐ろしくて気を失いそうだが目が離せない。
煌めきがゆっくり移動し、見えなくなるとより恐慌が深まり、いや、いや、いや、とただ泣く。
「おまえは本当に可愛いよ」
男は言う。ずっと彼を気に入っていたから思ったとおりの反応に愛おしさが募って狂いそうだ。
「可愛い、可愛い」
呪いの言葉と共にダガーが背中に触れる。少年はひい、と高い悲鳴を上げる。男は激しく突き上げ、性感のままにダガーを滑らす。少年は一拍沈黙し、そして絶叫する。その声に煽られて男はより強く突き上げ、次々と切りつけていく。
浅く、深く、長く、短く。
「たすけて、にいさん!」
少年は初めて兄を呼ぶ。ずっと堪えてきたがもう守れない。背中の皮の下を走る刃物の感覚は薄ければ気味悪く、深ければ焼けつき、少年の痙攣が進んで硬直が始まる。そうして動けないことが胸の内でこごって呼吸を止める。
「にいさん、にいさん、たすけて、たすけて」
強くて神々しい兄はきっと助けに来てくれる、助けてくれると信じているから。
背中一面に血が流れている。決して死なない程度に深く口を開けた傷がたらたらと血を流し、例えば肩から、例えば腰から、例えば尻を押さえつけた自分の手から、赤い色が目に触れて男は歓喜のままに射精する。まだ足りずにその血を舐めながら動き続け、我慢できずに少年の体を廻して背を向けさせる。
そして、男は、はっと息を呑む。
その音は少年の耳に入って朧だった意識を引き戻す。
男は感動に震えながら血を舐める。
少年は再び叫び始めている。
舐めればもっとよく見たくなって指でこじ開ける。
少年は締められる獣のように軋んだ嗚咽を上げている。
視覚に刺激されればほじるようにして肉の味を確かめる。
少年はすすり泣きながら口元に微笑みを浮かべている。
男は全ての傷を丁寧に検分しながら何度も射精している。
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