具体的にきっかけってのは無かった。
乗っかったのは俺が先だ。それは間違いが無い。だって、あんまりにもカカシ先生が誘うから。そうでもなけりゃ、俺みたいな人間に上忍に乗っかるなんてマネが出来るはずがない。
そもそもカカシ先生が俺の家をふらりと訪れて、当たり前のような顔をしてメシをせびった事自体、俺の意思には関わらない事だ。触りがあるだろうと、曝された顔を見ずに食事を済ませて茶を飲んでぼんやりテレビを見ていると、カカシ先生は何気なく席を立った。便所だろうと思ったら、水音が違う方向から聞こえてきた。風呂場からだ。せめて一声掛けようぜ、と心底思ったがカカシ先生らしいとも思った。仕方なく、俺の着替えとタオルを脱衣所に置いた。
出て来たカカシ先生は、イルカ先生も風呂入ったら、と言った。さすがに額当ては外しているが、俺のトレーナーの下に面布付きのアンダーを着込んでいる。暗部出身者は大変だなあと思いながら、そうですね、と俺は答えた。それで風呂から出てきたら、居間は明かりが消えていた。ああ、帰ったのか、と一瞬思ったが気配が寝室から零れてくる。どっちにしろタオル一枚を腰に巻いただけの格好だったから寝室に寝巻きを取りに入った。カカシ先生は、まるで自宅にいるように、極自然体で俺のベッドの上でイチャパラを読んでいた。
「そこで寝るんですか」
「だめですか」
「いいんですけど、俺どうしようかな。客用布団、ちょうど打ち直しに出してて」
「シングルにしては広いじゃないですか、一緒に寝ましょ」
「そういう訳にも。寝袋、どこだったっけ」
とりあえず寝巻きを着込み、押入れを開けて見回したが記憶が戻らない。天袋を確認しようと居間から椅子を持ってくる。と、カカシ先生が小動物か虫みたいに押入れの上の方に取りついて、天袋を覗き込んでいた。
「何やってんですか」
「無いでーすよ、寝袋」
「おかしいなあ、この部屋のどこかにあるはずなんですけどね」
「観念して一緒に寝ましょうよ」
「そういう訳にも」
とん、と床に降りたカカシ先生は、ひゃ、と言って右足を上げた。
「カカシ先生?」
「足の裏、じーんとする、じーんと!」
「……あなた、本当に上忍ですか?」
「イタイ、キモチワルイ」
「そういうのは、足の裏を叩くと治るんです」
俺はカカシ先生の背後に立って右足を掴んで、子供にやってやるように足の裏をぱちぱち叩いた。
「まだ治らないなら、足踏みしなさいね」
「ハイ」
忍の『し』の字も無く、じたばたとカカシ先生は足を踏み鳴らし、その上よろめいて俺の胸に額をどしん、と当てた。
「あなた……本当に上忍ですか……」
「どうでしょう。自信が無くなってきました」
顔を上げたカカシ先生は、に、と目を細めた。
たぶん、いや、絶対に俺はハメられたんだと思う。
カカシ先生は一歩逃げた。するり、と逃げた。しかし俺は、また彼がよろめいたのだと思って二の腕を掴んだ。いくらなんでもそうそうふらつくはずは無い。しかし、俺は真剣に支えようとし、カカシ先生はいよいよ後ろにのめったので俺は壁に手をついた。そのままではカカシ先生の後頭部が危ないと判断したんだ。で、手をついたところに灯りのスイッチがあって、瞬時に部屋は真っ暗になった。
カカシ先生はのけぞって俺を見上げ、俺はその顔を覗き降ろす格好だった。
カーテンは開いていた。窓から月は見えなかったが、雲が無かったんだろう、窓枠の影がカカシ先生の顔に歪んだ十字を描いていた。
写輪眼を間近に見るのは初めてだった。綺麗だと思った。のけぞったままなのも気の毒だと思った。それだけだったんだが、腕を掴んだまま背中に手を当てた。すると、カカシ先生はわずかに逃げた。
これは、はっきりと分かった。逃げた、と理解した時には追っていた。追って、俺と壁の間にカカシ先生を挟んだ。何がしたかったのか、と問われても俺には説明出来ない。そうしてしまった。
月明かりがちらり、と写輪眼に反射した。半回転したようだった。思わず近づいた。ほとんど密着した状態で更に近づけばどうなるかは、まあ、簡単な事で、俺はぞわっと背中に緊張を走らせた。腕を離し、充分に抵抗の余地を与えて視線を併せた。もちろん本気になられたらこっちが瞬殺されるのは目に見えている。でも、その時俺は、どうしてもその赤い目を気の済むまで眺めたかった。自分でも具合が悪くなるんじゃないか、というくらいの緊張で全身を縛って、空いた手をカカシ先生の左頬に添えた。
カカシ先生の頬は冷たかった。指先が触れた耳も冷たかった。
鼻同士が触れ合う距離で見つめると、写輪眼の中には人魂のような三つの文様が見えた。技だけではなく、人の心も取り込むのじゃないかと思う。きっとそうなんだろう。
カカシ先生には動く気配がない。俺は緊張したままカカシ先生に体重を掛けた。指先に触れたままの耳があまりに冷えていたので唇に挟んでみると、想像以上に柔らかかった。抵抗が無いので面布の上から首筋を噛む。それでもカカシ先生は不自然なほど反応無しだった。それが余計に俺の肌をぴりぴりと敏感にする。だらり、と垂れたままのカカシ先生の腕は、上がった瞬間、俺を殺すのだ。そう、思った。
顔を上げて目を合わすとカカシ先生はゆっくりと手を動かした。ああ、と俺は溜息を吐いて待った。が、カカシ先生は少しずれた面布を引き上げただけだった。もともと白目がちな目を更に上目にして、俺を見つめたままだった。
既に俺には、写輪眼などどうでもよくなっていた。カカシ先生の顔を両手で包んで髪に指を差し入れ、やわやわと撫でた。手の平に当たる耳はやはり冷たいままだった。カカシ先生は目を閉じ、また、逃げた。ほんの少し。俺は慌てて体を寄せた。もう、どんなに腕を伸ばしても、灯りのスイッチには触れる事は出来ない場所に来ていた。俺はあっさり人生を捨てて、カカシ先生の耳元で言った。
「抱きます」
カカシ先生の返事は無かったが、床の上に引き倒して寝巻きを剥いだ。面布だけはガードするので、胸の上までずり上げるに留めた。カカシ先生の体は実に簡単な愛撫だけでほぐれ、あっという間に俺達は繋がった。面布の上から触れる唇は作り物みたいだったので、俺はカカシ先生の結膜に舌を突っ込んで目玉を舐めた。少し塩辛かった。全く嫌がらなかったからそうされるのにも慣れているんだろう。深く呼吸して細く目を開け、いやらしく腰を振るカカシ先生が、憎かった。
それから、ベッドに移ってもう一回やってから眠った。
真夜中、眩しくて目が覚めた。月が窓の中央まで上がっていた。カカシ先生は起き上がって伸びをしてぽん、とベッドから降りた。
「あとくされ、って嫌なんだよね」
それだけ言うとカカシ先生は手早く服を着て、お行儀悪く窓から出て行った。開いた窓から差し込む月の光に暖められでもしたように、カカシ先生の匂いがしつこい程長く部屋を回っていた。
「イルカがねー、俺のケツにナニ入れたんだよねー」
アスマと紅は仲良く手に持った雑誌を二つに裂いた。ああ、仲イイナアと俺は思って半目で二人を眺める。
「いきなりなんなんだ」
「バカじゃないの?」
同時に言っちゃったりしてホント仲いいんだから。
「で、なんだ」
「何って?」
「殺っちまったから、三代目にとりなせとか言うんじゃないだろな」
「無理ね。一緒にごはん食べるくらい三代目のお気に入りなのよ」
「長い付き合いだったが達者でな」
「派手な前線だといいわね」
「なーにー? 何言ってんのー」
「だから、おまえがイルカを殺っちまって、火影の逆鱗に触れて特Sランクの戦場に送られるって話だ」
「殺してないもーん」
今度は同時に溜息吐いたよ。もう一心同体ってやつ?
「それじゃあ、いいじゃねえか」
「お幸せにね」
「えー、つれなーい、聞いて聞いて」
「嫌だ」
「嫌よ」
いいなーいいなー、仲良しさーん、とじたばたしていると、いつの間にか二人ともいなくなっていた。その後、誰かカモが来ないかとしばらく待機所をうろうろしてたけど、誰も来ないみたいだから机を蹴っ飛ばしてから出て行った。
別に用事もないけど、アカデミーに寄って廊下を歩いてみた。職員室を覗いても数人しか教師はいない。そのまま校内をぶらついていたら、授業が終わったらしく、おガキ様がわらわらと教室から出て来た。はーん、と思って張っていると、最後にイルカが出て来た。腰の周りにいっぱい子供をぶら下げて歩いてる。変なの。
「あ」
こっち向いた。にこにこしよう。
「こ、こんにちは、カカシ先生」
あからさまに目が泳いでるなァ。
「ほ、ほら、次実技なんだろ、おまえらさっさとグラウンドに出ろ」
にっこりしている俺を見て、さーっと子供らが散った。……ま、いいや。
「カカシ先生、あの……」
「こんにちは、イルカ先生」
「あの……この間は、あの」
「授業終り? 暇?」
「へ、まあ、一応」
「そ、こっち来て」
イルカがなんか言ってるけど、聞く気がしないからとりあえず無視。引っ張って使ってない資料室に押し込んで鍵掛けて、足払いしたら簡単にすっ転んだ。中忍さんって感じでいいね。
「カ、カカシ先生!?」
「セキニン、取ってね」
「は!?」
「俺、禁欲してたんだーよねー」
「き、禁欲?」
「何、その不審そうな目は」
「いえ、そんな」
「とにかくね、せーっかく禁欲してたのに、収まりつかなくなったんだよね」
「は……」
「そういうことでヨロシク」
「カ、」
「ま、嫌だって言っても犯すけど」
それで俺は金縛り状態のイルカの上で服を脱いで跨いで、好きなようにやった。結局イルカも楽しそうだった。でも、キスしたがるのがウザかった。あんまりウザいんでちょっとだけ舌を舐めてやった。ま、どんな事にも面倒は付き物だから仕方ないかね。
カカシ先生の気持ちが全く分からない。あれから頻繁に俺の家に来る。俺達は有体に言えば『肉体関係』で、ホントそれだけだ。
一応飯を食ったり風呂に入ったり、くだらない話をしたりと人間っぽい事もするんだが、ヤレばカカシ先生はさっさと家に帰ってしまうし、色っぽい事を言ったりもしない。まあ、概ねドーブツだ。
一番最初は確かに俺が主導だった訳だが、今ではカカシ先生が好き放題だ。俺としては、寝転んでりゃいいから楽なもんだ。でもなあ。動くなって言われたらなんともむなしい。というより、違うんじゃないかと思うんだが。
いや。そんな事はもういいかと思う。俺は、カカシ先生が気持ち良さそうに腰振ってる姿がやっぱり憎い。大体、禁欲してたって嘘だろ。男なんて大して抱いた事がない俺が、ちょこっと触っただけで準備OKだったじゃないか。こんな風なら、アンタら中忍は上忍の言う事聞いてりゃいい、チクったら殺すぞって言やあいいんだ。……別に俺は誰にも言わねえけど。
分かってても俺はカカシ先生が来ると、黙って飯出して風呂を沸かす。速攻ヤりゃいいんだけど。でも、カカシ先生だって、いただきますって手ぇ合わせて食うし、そんじゃお先にってタオル振り回して風呂場に行くんだ。あの人が憎いのは、そういうくだらない事に付き合うからだ。俺が風呂から出るのをストレッチなんかして待ってて、はいはいこっち、なんて言って引っ張って、にこにこ笑って跨ってくる、あの人が憎い。ちゃんとパジャマ着て、俺の上でじっくりそれを脱いで、体を見せびらかすあの人が憎い。
白くてかさかさした肌には沢山傷がある。色素が薄いから傷の色も薄いが、新しい傷は肉色をしていて触るとくすぐったがる。胸に走った傷を嫌がらせのようにずっと舐めていると嫌がって背中を向けた。腰を上げて俺の股座に顔を突っ込むので、俺も同じようにカカシ先生の腰を顔の上に引き寄せた。こういう状況でも相変わらず覆面付きのアンダーは脱ごうとしないから、俺は今でもカカシ先生の鎖骨や唇を見たことがない。尻の中までめくってるってのに、顔をちゃんと知らないってのはどうにも情けない気がする。
「ヘンタイ」
アナルに舌を突っ込んだらそう言われた。きちんと直腸洗浄してくる人に言われたかない。腹が立つので、まあ色々と悪戯したら、ごん、と頬に膝蹴りを食らった。今日はいつもより動作の制限をしないカカシ先生が悪いんだ。
さあて、入れちゃおう、とカカシ先生が言った。なんでこんなに楽しげなんだろう。
汗ばんできて、俺はどうにも堪らなくなった。キスしたい、と言うと、カカシ先生はすごくイヤそうな目をした。でも、すぐに俺の目をカカシ先生のひんやりした手の平が塞いだ。そして、べろん、と唇を舐め上げられた。俺も舌を出すと、先っぽに噛み付かれた。
なんだろうなあ。舌を噛まれながら考える。いつもこんな感じなんだが、これってキスじゃないよな?
甘噛みだから痛くはないが痒い。その痒い舌の先を口の中でぺろぺろと舐められるからもっと痒くなる。もういいや、と思ってカカシ先生を引き剥がして一つ大きく動くと、笑い声が聞こえた。ああ、イキそうなんだなあと思って腰を掴むと、ばちりと手を叩かれた。やっぱり最後はカカシ先生がバカみたいに腰振って終わった。
ヤリ終わってぼんやりしているイルカはいい。何にも考えてなさそうなところがいいね。ま、俺としてもぼんやりしていたいところだけど、だるいなあ、と背伸びをして立ち上がった。するとなぜかイルカが腕を掴んだ。
うっとおしいねえ。泊まっていかないんですか、なんて言うんじゃないよ。そんなの何の意味もない。ヤリたい気持ちが収まったらココにいたって仕方ない。無視して手を払ってベッドを降りた。
あーヤダヤダ、視姦されちゃってるよ、俺。脱ぐ時は気持ちいいけど、着る時は実に不愉快だね。ぱっぱと服着ちゃおう。ん? パンツ、どこだろ?
面倒なのでパンツ無し。イルカは結構ヘンタイさんだけど、後で発見した俺のパンツを頭に被る事はないやね。……別に被ってもいいか。うん、ま、別にいいや。
よし、完了。さて撤収、と窓に向かうためにイルカを跨いだら足首を握られた。
「サンダルは玄関ですよ」
そうそう、この間も忘れたんだよね。俺は玄関に回ってサンダルを掴み、戻ってまたイルカを跨ぎ越した。
「なんで玄関から出ないんですか」
はー? そりゃ、窓から出たいからでしょ。
「それからパンツはここです」
右手で俺の黒いパンツを回している。受け取ろうとすると、さっと枕の下に隠しやがった。
「いいです、アンタにあげます」
むっとして俺は窓を開けた。
「置いて帰ったらコレ、洗濯しないで俺が穿きますよ?」
ソレはヤダ!
「じゃあ持って帰る」
「ダメです、穿いて帰って下さい」
「いつノーパン禁止令が出たんだよ!」
「穿いて帰らないと、マジで俺が穿きますからね」
「穿くな! 被ってもいいから!」
ぶっとイルカが噴出し、俺はその隙に枕の下に手を入れた。しかしパンツの感触が無い。まさか、と思っておそるおそる布団をはがすと、イルカは既に俺のパンツを穿いていやがった。
「穿くなー!」
「いいじゃないですか」
それからしばらくベッドの上でパンツを巡って戦った。しかし、イルカは異常な執着を見せてなかなか脱がす事が出来ない。さすがヘンタイさんだ。どたばた体を入れ替えながら考えた末に、さっきやったみたいにイルカの上に乗っかって顔をべろべろ舐めた。それでやっとイルカは大人しくなり、俺はパンツ奪取に成功。疲れたので顔をひっぱたいてやった。
「パンツでチャクラ、使わせんな! もったいなーい!」
「ああ、いけませんね。カカシ先生、体弱いんですから」
「弱くない! すぐバテちゃうだけ!」
「世間ではそれを体弱いっていうんですよ」
「言わなーい!」
急いでポーチにパンツをしまい、俺は開けていた窓に身を乗り出した。
「サンダルはどうするんですか?」
イヤーな予感と共に振り返ると、マッパのイルカが俺のサンダルだけを引っ掛けて寝転んでいる。なんて間抜けな格好。
「そういう顔だったんすね」
へ、と一瞬呆けた。顔を触ると面布が降りている。顔舐めたんだからそりゃそうだろ、と自分に言いながらもショックを受けた。うかつにも程がある。食事の時だって、おガキ様達にするように目視できないスピードで上げ降ろししてたってのに。イルカが見たいって言ったら、全身マッサージさせて足舐めさせてから見せてやろうって思ってたのに。
ちきしょう、もう一生パンツなんか穿くもんか! ていうか、俺、なんでこんなに腹立ってんだ、くそ!
急にカカシ先生がしゅんとしてしまったので、俺は慌てて俯き、顔を見ないようにしてサンダルを渡した。するとカカシ先生は窓の外に投げちまった。
しゅんとしたままカカシ先生は俺の隣りに寝転んで背中を向けた。
やっぱり顔を見たらダメなんだ。とても悪い事をしてしまったらしい。ちょっと調子に乗りすぎちまったかなあ。でも、カカシ先生も結構楽しそうだった。たまには悪ふざけもいいかと思ったんだが。
「すみませんでした、顔見ちゃって。忘れますから」
言うと、ものすごい殺気で返事をされた。怖い。
どうしようかな、と思ってじっとしていると、カカシ先生は殺気垂れ流しのままこっちを向いた。
「ちゅーしやがれ」
「……」
なんだかよく分からない。とにかくむくれているので、機嫌を取らないといけないらしい。
殺気をしまって欲しいなあと思いながら、トゲトゲしたカカシ先生を抱いて顔を寄せる。不気味に大人しく目を閉じているので、とても嫌だったがキスをしてみた。口を付けるだけのやつだ。でも、舌だけ噛んだり舐めたりするよりかはずっとキスって感じのやつだ。
「もっと」
少し考えたが、まあ、最初から死ぬつもりで乗っかったんだし、ここで惜しむ事もねえやと噛み切られる覚悟で舌を入れた。
意外にもカカシ先生は殺気を消した。そして応えているつもりなのか、べろべろ俺の舌を舐める。なんかおかしーな、と思いながら一端離れると、カカシ先生はくっ付いてきて俺の唇をべちゃべちゃになるまで舐めた。改めて口を開くとやっぱり忙しなく中を舐めてきた。ちょっと待て、と頭を押さえて舌を絡めて吸う。しかし、離した瞬間にべろべろやられた。それで、なんとなく分かったような気がした。
「ニンゲンとのちゅーも悪くないね」
口を離して第一声、カカシ先生は言った。
「そりゃ良かったですね」
「ちゅーなんて、犬とするもんだって思ってた」
「それはキスではありません」
犬専門ならああいうキスになっても仕方ねえか、と無理やり俺は受け入れた。なんだか懐くみたいにすり寄ってくるカカシ先生が哀れなようで不気味なようで、ふと浮かんだ深刻な疑問を口に出してみた。
「もしかして、今までセックスも犬としてたってんじゃないでしょうね?」
どかん、と殴られて俺は部屋の端まで吹っ飛んだ。俺の背中でふすまが一枚折れている。いてて、と顔を上げるとカカシ先生が目の前にいて、ポーチからパンツを出して俺の頭に被せた。そして
「死ね!」
と物騒な言葉を吐き捨てて窓からお帰りになった。
イルカが肋骨を折った。俺は悪くないけど一応見舞いに行ってやった。
二本折れて一本ヒビが入ってるんだって言う。動けなくて丁度いいから犯してみた。勘弁して下さいって泣きが入ったけど無視。
でも、イルカがやったのを真似してちゅーしてやったら笑った。馬鹿だよねー、中忍さん。そんで、馬鹿な子ほど可愛いってホントかもしんないって思ったね。
カカシ先生が果物持って見舞いに来た。悪かったのは俺なのでまず謝る。
で、調子こいて跨ってきやがった。肋骨折れてんだよ、泣き入れても無視かよ、糞上忍め。まあ、勃った俺も訳分かんねえけどな。
でも、カカシ先生はニンゲンのキスをしてきた。嬉しかった。自分が心底馬鹿だと思えた瞬間だ。それに、顔見せて腰振ってる姿はあんまり憎くなかったな。
いっぺんくらい、だっこして寝てやってもいいか。
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